現在も多くの方が、NHKで放映された在日ベトナム人支援のニュースなどをご覧になり、その支援団体の振込先を探してひとさじの会にご連絡をくださっています。
ひとさじの会では一時的な支援の窓口として「在日ベトナム人への緊急施米支縁プロジェクト」を行いましたが、現在はその期間を終了しております。
もし、ご寄付を考えていらっしゃる方がおられましたら、日本に住む、困窮しているベトナム人を保護するティック・タム・チー師の活動団体「一般社団法人 在日ベトナム仏教信者会」(大恩寺)をご案内させていただきます。
【在日ベトナム仏教信者会の寄付先】
[ゆうちょ銀行]
◯郵便局からお振り込みの場合
(名称)ザイニチベトナムブッキョウシンジャカイ
(記号)10170 (口座番号)83642461」まで。
◯他の金融機関からお振り込みの場合
名義:ザイニチベトナムブッキョウシンジャカイ
店名:〇一八
普通預金
口座番号:8364246
【物資のご寄付の送り先】
物資のご寄付をお送りくださる際には、在日ベトナム仏教のお寺である大恩寺へお送りくださいませ。
〒367-0224埼玉県本庄市児玉町高柳668-2 大恩寺
【一般社団法人 在日ベトナム仏教信者会代表理事】
ティック・タム・チー Thích Tâm Trí (釈心智)
大正大学大学院梵文学卒業、国際仏教学大学院大学博士後期満期修了、ひとさじの会理事、大恩寺ベトナム寺院住職
Email:adidaphat6999@gmail.com
TEL:080-4133-6999
Twitter:@NsVCdd5QrgeL9Pa
〈在日ベトナム人への緊急施米支縁プロジェクト寄付金の御礼とご報告〉
※2020年11月20日時点
この度、ひとさじの会では、「在日ベトナム人への緊急施米支縁プロジェクト」と銘打ち、コロナ禍の中、深刻な困窮状態に陥っている、在日ベトナム人たちへの多岐にわたる支援を行っている「在日ベトナム仏教信者会」(代表―ティック・タム・チ)の後方支援をするため、ご寄付をSNS等で募ったところ、予想を遙かに上回る多くの方々からご浄財を頂戴いたしました。ご寄付下さった皆さまに心より御礼を申し上げます。寄附者合計と総額は以下のようになっております。
・期間:9月22日~11月16日
・寄付下さった方:290名
・寄付金合計:4,607,841円
また、浄財のみならず、直接、お米や食料などの支援も頂戴しました。重ねて御礼申し上げます。
当会では、在日ベトナム仏教信者会に関係するベトナム寺院(埼玉県の大恩寺、愛知県福慧寺、兵庫県大南寺)の3カ寺を通じて、生活に困窮する在日ベトナム人にお米をお配りしていきます。現在、ご寄付いただいたご浄財をもとに、大量のお米の購入に動いています。
そちらは、また、いずれご報告申し上げます。 合掌
⑧在日ベトナム人への緊急施米支縁のご報告(2020年12月31日)
ひとさじの会では、この秋から冬にかけて、コロナのために生活が苦しくなったり、故郷に帰りたくても帰れなくなった在日ベトナム人たちに向けた、緊急施米支縁プロジェクトを行いました。
支縁の内容はシンプルで、多くの皆様に困っている在日ベトナム人の青年たちの生活に欠かせないお米の購入の費用を集めさせていただき、集まったらお米を買い集めて、在日ベトナム仏教信者会を通じて、全国の必要とする方々にお配りを賜るというものでした。
ご支縁は、わたしたちひとさじメンバーの予想をはるかに超える大きなものになり、500万円を超えて、今なお振り込まれています(一応、プロジェクトは終了しているのですが、ぜひとも支縁に参加したいという方がいらっしゃるのです。ありがたいことです)。
時間はかかりましたが、おかげさまで、
・12/24 埼玉県本庄市大恩寺様へお米5トン
・12/26 兵庫県姫路市大南寺様へお米5トン
・12/27 愛知県稲沢市福慧寺様へお米5トン
全部で15トンのお米をお届けすることができました。
さらに、大恩寺様からは全国各地の困窮するベトナム人技能実習生や留学生たちにも届けられるため、もう新年すぐにお米が尽きるとのご連絡をいただきました。そのため、正月のうちにさらに5トンのお米をお届けすることが決まっています。
あわせて20トンのお米の支縁をさせていただけたのは、誠に皆様方の慈愛のお気持ちによるものです。ご協力をくださった皆様に心から感謝を申し上げます。
しかしながら、昨日、新宿区大久保公園にて行われていた「年越し支援・コロナ被害相談村」からも、行き場がなくて、この寒空に1週間以上路上で暮らしていた在日ベトナム人の若者の保護のお手伝いをさせていただきました。
彼らの話を聞くと、「若いからがんばれば必ず仕事がある、がんばれ!」などという言葉は、とてもかけられないほど、本当に精一杯、言葉の通じにくい日本で仕事を探し、一生懸命に生きるために努力してきたことを感じます。
努力では、どうにも生活を改善できぬ状況の外国籍の若者たちもいるのです。「これ以上、がんばれがんばれ!」と無理を続けさせれば、身体を壊して死んでしまうほど、無理をしてきている若者もいます。
それは日本の外国籍の方々に対する法制度の問題に起因するものでもあり、努力でどうにかなるレベルではないことを痛感させられます。そんな外国籍の若者が、もともと日本には大勢存在することも、コロナは明らかにしたのではないかと思います。
そんな中、私たち一人ひとりにできることはわずかなことかもしれません。でも、せめて家を失うことで、仕事の場からも、学習の機会からも、あらゆるコミュニティにもつながりにくくなり、やがて誰からも見えなくなってしまう外国籍の若者たちがいることを知っていることが大切なことのように思います。
それは、彼らについて知ることが、きっと彼らとつながり、彼らが困っているときに声をかける縁を生じることになるからです。自分で直接に声がかけられなくても、そんな彼らに真正面から向き合う在日ベトナム仏教信者会などの支援グループに結びつくことで、応援することもできると思います。
わたしたちひとさじのメンバーも、そんな小さな仲間の1人になれるようにと、この支縁を始めさせていただきました。もしよろしければ、今後もこうした支縁の輪の中に入っていただき、共につらい状況にある在日外国籍の方々のことを想っていただけたら幸いです。
新年に入っても、まだまだ苦しい外国籍の人は大勢生じることだと思います。まずは、集まったお浄財が尽きるまでこの活動を続け、さらにあらたな必要があれば、ご縁をいただいた多くの人のご協力を賜りながら、次なる支縁を考えてまいります。
以上、これまでのこの支縁のご報告と、今後も在日ベトナム人をはじめとする外国籍の方々へのあたたかな眼差しを向けていただきたいとのお願いでした。まもなく新年。どうかわずかでも困難を抱えている人たちが安寧で安楽であれますようにお祈りを申し上げます。
合掌 南無阿弥陀佛
(ひとさじの会事務局長 吉水岳彦)
⑦祈りの8日間(2020年11月27日)
ひとさじの会の姉妹会「為先会」では、来週の金曜(11月27日)から、8日間(12月4日まで)、ベトナム寺院(大恩寺)に籠もりお念仏のみの修行の生活に入ります。
ベトナム仏教徒と日本の仏教徒が共に、同じ道場で修養を行い、苦しい胸の内を仏様に吐露する聖なる時間にもなります。また、コロナで亡くなった方々の後世安楽、現在、コロナ禍で苦しむすべての方の安寧、一切の生きとし生けるものの幸せも共に祈ってまいります。
本来、世俗を離れた閉ざされた空間での修行ですが、一カ所に集いにくいコロナ禍の状況をかんがみ、youtubeにて期間中全席LIVE配信することになりました。
その期間中もしご都合が合えば、下記の為先会のyoutubeチャンネルをのぞいていただき、場所は異なれども、またちょっとの間だけでも、共に手を合わせていただけたら幸いに存じます。合掌
⑥在日ベトナム人への緊急施米支縁プロジェクト(11月9日)
≪ベトナム仏教と日本仏教(後篇)≫
平成25年3月に報告された文化庁文化部宗務課による「在留外国人の宗教事情に関する資料集―東南アジア・南アジア編―」は、東南アジア(フィリピン、ベトナム、タイ、インドネシア)と南アジア(インド、ネパール、パキスタン、バングラデシュ)の在留外国人に関する宗教事情を調査したものです。ここではそのレポートをもとに、現在のベトナム仏教の宗教事情について簡単にまとめたいと思います。
前回の記事にも述べたように、ベトナムの仏教は儒教、道教、民間信仰などの多様な宗教や信仰と複雑に混ざり合って形成されています。当然、仏教に由来する行事に加えて、民間信仰と結びついたものも数多くあります。そのため、ベトナムの寺院の中には、一見すると仏教とは直接には関係の薄い事物や人物の写真などが飾られていることも少なくないようです。
仏教信者の生活としては、五戒を中心とする在家戒を守る、毎日家庭内で礼拝を行うなど、日常生活の中で宗教活動が行われています。生活のルールとなる在家信者が守るべき五戒とは、①生類を殺さない、②盗みをしない、③みだらなことをしない、④嘘をつかない、⑤酒を飲まない、の五つでベトナムの仏教徒は現在の日本に比べると僧俗ともに戒律を厳しく守っています。
また、寺院が身近にあるため、月に数回寺院に行って読経や礼拝をする人も多いようです。日本と同様にベトナムでは祖先崇拝が非常に盛んで、各家庭には「バントー」とよばれる祖先を祀る祭壇があり、日々礼拝が行われています。主な宗教行事として、上元テト(新年の初満月を祝う祭日)、降誕会、盂蘭盆会などがあり、行事の際には寺院にて信者の礼拝や僧侶による説教などが行われ、儀式の後には精進料理を食することが多いようです。
葬儀については、僧侶による儀礼が執行され、その後は墓地に運ばれて埋葬されます。土葬が基本ですが、近年は火葬も増えつつあります。北部を中心にボクモ(ト墓)という風習(土葬して数年後に遺骨を掘り起こして洗骨し、再び墓へ改葬する)が残っていますが、衛生面の問題や都市部での火葬の増加などもあって、改葬の習慣は徐々に少なくなっています。
以上のようなベトナムの状況を見ていると、もちろん日本仏教とは異なる宗教文化も多々みられますが、生活の節々に仏教儀礼が根付いていて、数十年前の日本で見られた光景と重なる部分があって「どこか懐かしい」、そんな親近感を持つ方も多いのではないでしょうか。ひとさじの会に参加してくださる「在日ベトナム仏教信者会」の皆さんも、とても信心深く、素朴でやさしい、すばらしい方々がたくさんいらっしゃいます。
なお、同レポートには「日本における宗教事情」として、在留ベトナム人の方々がおかれている状況についても報告されています。それによると、①日本にはベトナム仏教の寺院がなく宗教活動がほとんどできていない、②自宅の仏壇での読経や月一回の斎戒など家庭内の活動に留まっている、③核となる宗教施設がないためベトナム人仏教徒のコミュニティの結びつきが弱くて宗教行事がほとんど実施できていない、といった問題点が指摘されており、これらは今もってほとんど解決されていません。
タムチー師をはじめとする「在日ベトナム仏教信者会」は、まさにこの①~③の問題をサポートすべく長年にわたって活動を続けているのです。また、ひとさじの会へ定期的にボランティア参加をしてくださる信者の方も多くおられて、仏教信者が積極的に福祉的活動を行うことをとても大切にしていることを実感します。だからこそ今回の支援のように、生活に困窮した人々へ必要な物資を送るといった相互扶助の活動も、当たり前のように自然に沸き起こったということができます。この点は、日本の僧侶と信者もぜひ見習いたいところですね。
(ひとさじの会理事 工藤量導)
⑤在日ベトナム人への緊急施米支縁プロジェクト(11月3日)
≪ベトナム仏教と日本仏教(前篇)≫
ベトナムの宗教は、2005年の政府統計(当時の人口は8300万人ほど)によると、仏教徒が約1000万人、キリスト教(カトリックが8割)が約700万人、新興宗教(カオダイ教やホアハオ教)が約350万人、イスラーム教徒が約6万人となっていて、全体としては仏教徒の割合がもっとも多い国です。
皆さんは「ベトナム仏教」と聞くと、どんなイメージを描くでしょうか?日本が中国・朝鮮半島を通じて北回りで伝わった「大乗仏教の国」であるのとは違い、タイやミャンマーなどの東南アジアの国々はスリランカから南回りの海路で伝わった「上座部仏教の国」で、同じ仏教といっても修行や信仰のスタイルが大きく異なります。ベトナムも当然、上座部仏教の国と考えてしまいがちなのですが、実は主として大乗仏教徒が多く、東南アジアの国々の中では異色な存在です。
その理由は、中国と陸の国境を接するという地理的な位置、さらに千年以上も中国の支配下にあり、その相互交流の中で仏教が伝わったからです。当時の中国仏教は禅と浄土教が融合した仏教が主流だったので、ベトナムもその影響を強く受けています。ベトナム仏教が本格的な発展を遂げるのは、中国から独立した11世紀から14世紀(李朝~陳朝期)頃で、仏教が国教と定められて、仏教寺院はベトナム文化の中心を担っていきました。
なお、現在のベトナムは南北に長い国ですが、これは19世紀に南北統一されて以降の国域であり、北部、中部、南部はもともと別々の民族が支配し、個別の文化・言語・宗教をもっていました。現在のベトナムの前身となったのは儒教色を強めながら勢力を拡大していた漢字文化圏にもとづく国家(阮朝)です。
大乗仏教は主として中国に近い北部を中心に受容されますが、もう少し詳しくみると、ベトナムの仏教には北宗仏教(大乗仏教系)、南宗仏教(上座部仏教系)、乞士仏教(南北融合系)という大きく三つの潮流があり、ベトナムの寺院数1万5千ほどのうち、おおよそ9割を北宗仏教の寺院が占めています。北宗仏教の中での宗派の区分は、日本ほどはっきりと定まっていなくて、同一教団内で禅・浄土・密教が融合的に併存しており、さらに民衆レベルでは儒教の儀礼や道教の神々への信仰も取り込まれるなど儒・仏・道の複合的な宗教実践が行われています。
寺院の雰囲気は北部と南部で大いに異なり、首都ハノイのある北部は日本と同じように湖や川のほとり、あるいは山中の景勝地に静かにたたずむ雰囲気が特徴で、一方、経済の中心ホーチミンのある南部はやや南国的な風土で、寺院も仏像もきらびやかで明るく開放的なものが多く、第二次大戦後は南部の寺院数の増加が顕著なようです。2017年に、ひとさじの会有志の僧侶がホーチミンにおける新寺建立の落慶法要に参加しましたが、現地での僧侶および信者の篤い信仰心と行動力のエネルギッシュさに驚かされたことをよく覚えています。
寺院内には釈迦如来だけでなく阿弥陀如来、弥勒菩薩、観音菩薩などが祀られ、日常的に読誦されている経典は『阿弥陀経』を中心として、ときに『法華経』や『般若心経』なども唱えられています。現在のベトナム語は、中国の漢字由来の語が大多数ですが、とくに仏典を読誦するときに使われていた漢字音がベトナム語の音韻体系に合わせて変化したものが多いので、日本の読経の音(呉音・漢音という古い漢字音で読みます)とも似ていて、日本人にも親しみやすいと言われています。
なお、ベトナム人の国外在住者は400万人以上とされ(2011年時点)、その多くは社会主義体制や戦火を逃れた難民たちです。2010年には4万人ほどだった日本の在留ベトナム人も、2019年末には41万人を超え、すでに10倍以上になっています。それに伴い、在留ベトナム人の生活と信仰をサポートする団体や宗教施設の需要も高まり、彼らが日本で設立した仏教寺院や各種団体もみられるようになります。
→後編に続く
(ひとさじの会理事 工藤量導)
【新着記事】④在日ベトナム人への緊急施米支縁プロジェクト(10月23日)
≪在日ベトナム人たちによる路上生活者等へのベトナム料理のお振舞い≫
ひとさじの会では、新型コロナウイルス感染拡大防止を考慮して、2月以降は多くの人を集めて調理するのを中止しています。これにともない、月に一度、路上に生活する人へ美味しいベトナム風揚げ春巻きを1人に3本ずつお配りしていましたが、この活動も中止することになりました。本当に残念なことです。
熊谷や羽生、越谷、横浜などに住む在日ベトナム佛教信者で構成されている「隨縁禅室」メンバーは、ひとさじの会の炊き出しが行われる前日に集まって、200人分の揚げ春巻きなどの材料の買い出しや下ごしらえを半日以上かけて準備してくださっていました。
夜回り配食当日の午後14時には、車で大量の下ごしらえした食材を活動場所の光照院に運び込み、10名程の在日ベトナム人女性たちが集まって、用意した春巻きの餡をライスペーパーに手際よく包みます。続いて境内にて、隨縁禅室メンバーが購入してくださったフライヤーで4時間かけて600本の春巻きを揚げて、できたものを少し冷ましてから、3本ずつパッキングしてゆきます。
一度の夜回り配食のために、大勢で集まって2日間もかけてくださっていたことを想うと、いまさらながら、本当にありがたいご支縁をいただいてきたことに感謝を覚えます。
そして、18時を過ぎると、20代の在日ベトナム人留学生や技能実習生たちが5名から15名ほどお寺に来てくださり、日本人ボランティアと一緒に混ざっておにぎりづくりや揚げ春巻きづくり、衣類の仕分け作業、調理の洗い片付け清掃などを一生懸命つとめてくださいました。19時頃の本堂でのお念佛の時間には、一緒に大きな声でお念佛を称え、夜回り配食を終える22時過ぎまで、共に活動いたしました。
また、そんな活動の合間には、すべてのボランティアのために、ベトナム風揚げ春巻きの他に、パクチー入りのサラダやフォー、自家製ジュース、チェー(ベトナム風のお汁粉)、フルーツなどをお振舞いくださいました。
参加した日本人ボランティアの中には、ベトナム料理を初めて食べた方もいらっしゃいました。まさか、炊き出しに来て、自分が本場のベトナム料理をふるまってもらえると思わず、大喜びしている日本人もおりました(笑)
そのように、食を共にしながら、互いの文化の話が自然に語られる時間は、本当に楽しく貴重な時間で、自然と友達になることができたのも、美味しいものを一緒に食べようとしてくださった隨縁禅室のみなさまのご厚意のおかげかもしれません。
夜回りの活動でも、ボランティアの参加が足りずずに困っているときには、在日ベトナム人留学生や技能実習生たちが、LINEやFacebook等で自分のつながっている友達を呼んでくれて、助けてもらったことも多くありました。そんな時間の積み重ねのなかで、在日ベトナム人の留学生も技能実習生も主婦も、働いている方々も、みんなひとさじの会にとってかけがえのない存在になってゆきました。
コロナ禍になって失ったものは多くありますが、ひとさじの会のメンバーの多くは、共に過ごしたあたたかい交流の時間のロスを強く感じていると思います。いまは密になることを避けねばなりませんが、形を変えて、今後も心を通わせる豊かな時間を過ごすことができることを願わずにはいられません。
国内では、コロナ禍の影響もあり、大切な友人である大勢のベトナム人達が困っている状況が続いています。彼らが早期に安心して暮らせるようになるためにも、わたしたちひとさじのメンバーも出来るだけ、多くの施米をお届けできるように応援をし続けてまいります。
在日ベトナム人への緊急施米支縁の活動に、みなさまのご賛同と、温かいご芳志を賜れれば幸いです。何卒宜しくお願い申し上げます。合掌
(ひとさじの会理事 渡部教道)
③在日ベトナム仏教信者会会長ティック・タム・チー師からの支縁の呼びかけ(2020年10月8日)
ティック・タム・チー師からの今回の支縁の呼びかけ動画(約3分)
遠い異国の地で困っている方々のために、どうかお力を賜りたく、重ねてお願い申し上げます。合掌
(動画:在日ベトナム仏教信者会会長 ティック・タム・チー)
②日雇い労働に従事する在日ベトナム人労働者の生活問題(2020年9月29日)
2019年末の法務省の記録によれば、在留ベトナム人は41万人を超え、全在留外国人の約14%を占めています。数でいえば、在留中国人、在留韓国人には及ばないものの、ここ10年での在留ベトナム人の増加は著しく、そのほとんどが、留学生や技能実習生として来日した若い世代の方々です。
私たちが日本にいるベトナムの方々に心を寄せているのは、ひとさじの会として直接的な関わりがあるのはもちろんですが、それだけでなく特定技能実習生などで来日している在留外国人への構造的な問題が、路上生活者へのそれと非常に似通っているところにもあります。
現在、技能実習生がいなければ農業や漁業は成り立たないと言われています。技能実習生に占めるベトナム人の割合は41.6%と最も多く、第一次産業を支える重要な担い手になっていると言っても過言ではありません。私たちがコンビニで買うおにぎり一つとっても、米の生産から中身の具材の加工に至るまで、多くの部分で技能実習生の力を借りているのかもしれません。しかし、目に見えない労働の裏側で、技能実習という名の搾取が横行していることも事実です(もちろんそうでない会社もあります)。
そもそも、技能実習生は労働者ではない(建前上は「技術を学びにきた」)ため、雇用主と労働者という対等なルールでの契約関係があるわけではありません。働く環境が劣悪であっても、自ら職場を変えることはできません。しかも、日本に来る際、借金をして紹介業者に高額な仲介料を支払っているケースも少なくないため、条件や環境が悪いからといって容易に帰国することもできません。
母国には仕送りを当てにしている人もいます。しかし、その賃金は同年代に日本人を含む同年代の労働者全体の6割強にとどまっています(賃金構造基本統計調査2019)。セクハラ、パワハラ、暴力等を受け、劣悪な環境を逃れるため、実習先を離れれば「失踪」となり不法滞在になってしまいます。
日本語は喋れるけど堪能でない。日本の法律に疎い。職場での立場が弱い。様々な理由が考えられますが、こういった、言語スキルや情報の非対称性、社会的立場の弱さなど、私たちが普段かかわっている路上の方々と重なり合う部分が多くあります。路上に取り残された方々の中には、貧困ビジネスの対象となり、タコ部屋に押し込められ、生活保護費をピンハネされていた経験を持つ人も少なくありません。「あんなところで生活するくらいなら路上の方がまだましだ」と言う方にもしばしば出会います。
このコロナ禍で、仕事を失った外国人技能実習生もいます。帰国する予定だったのにいまだ帰れない実習生もいます。希望に胸膨らませてやって来た日本で、辛い思い出だけしかないのはあまりにも悲しいことです。せめて食べる物だけでも心配のないよう、引き続き皆様の温かいご支援を賜れれば幸いです。合掌
(文:ひとさじの会代表 高瀬顕功)
①ひとさじの会による在日ベトナム仏教信者会を通じたこれまでの支援(2020年9月22日)
2020年3月末、COVID-19(新型コロナウィルス)の感染防止の観点からベトナムへの帰国が禁止され、日本からベトナムへ向かう飛行機が運航を休止しました。それに伴い、日本から帰ることができなくなったベトナム人の技能実習生の数は2万人にのぼると言われています。しかも、実習生は在留の期間が決められているため、期間を終了すると在留資格も失うことになります。そのため、在日ベトナム人の帰国困難者を取り巻く環境の深刻度はより深くなってゆくことが予想されます。
出入国在留管理庁では、コロナ禍以降、在日外国人労働者を対象とした在留資格の伸長措置を実施していますが、在留資格の伸長のための手続きをしても、雇用先を見つけることができない在日外国人も多く、帰国の見通しが立たない中で、困窮し、食や住まいを失う人も出てきています。
そのように困窮する在日ベトナム人たちの食糧支援や大使館と連携した帰国支援、住まいのない者の保護等、多岐にわたる力強い支援を行っているのが、在日ベトナム佛教信者会(以下、信者会と略す)です。
信者会は、ひとさじの会が浅草山谷地域で行う路上生活者への夜回りにも長年協力してくださっていて、大勢の在日ベトナム人の技能実習生や留学生も活動に参加していました。
1回の路上での夜回りに、彼らは600本ものベトナム風揚げ春巻きを作ってくださり、活動では路上に住む方お1人に3本ずつパックしたものをお配りしてきました。
活動を共にしながら、屈託のない笑顔で、まるで呼吸をするかのように、困っている人を手助けしてゆく在日ベトナム人のボランティアには、多くの日本人のボランティアが心をあたためられ、その在り方に学ばせてもらってきました。
また、5年に及ぶ交流の中で、わたしたちひとさじの会のメンバーの誰もが、在日ベトナム人たちを共に同じ国で暮らし、共に助け合う仲間であることを感じ、本当に親しい友人になることができました。
コロナ禍において、その友人たちが困窮していることを知り、9月までに10トンのお米をひとさじの会から信者会の食糧支援にお贈りいたしました。しかし、上述したように、いまだ生活に困窮して、食事をすることもできない帰国困難の状態のベトナム人は大勢いらっしゃる現況です。
そこで、ひとさじの会では、「在日ベトナム人への緊急施米支縁プロジェクト」と銘打って、信者会の食糧支援の後方支援として、生きる上で欠かすことができないお米を引き続き贈るための寄付を募ることにいたしました。
ちなみに、5トンのお米の購入と発送には、およそ65万円が必要です。このプロジェクトでは、まずは5トンのお米をお送りし、できれば、10トン、15トンと、継続的にお米をお送りすることを考えております。
ご縁をいただいているみなさまにはご負担をおかけすることになりますが、少しでも多くのお米をお送りすることができるようにご寄付を賜れば幸甚です。ご協
力のほど、なにとぞよろしくお願い申し上げます。 合掌
(文:ひとさじの会事務局長 吉水岳彦)
【在日ベトナム佛教信者会の支援作業の様子】
【ひとさじの会への参加協力の様子】
【日本×ベトナムの佛教信仰交流の様子】