お坊さんは、お経をあげたり、お説法をすることを通じて、自分の修行だけでなく、多くの人に仏さまの尊いみ教えをお伝えする毎日を送っています。仏さまのみ教えには、生きる上で大切なことがいっぱいつまっています。そして、それは知っているだけではダメで、聞いて実際に自分で行うことが大切なものばかりです。これを多くの人にお伝え(お布施)することで、みんなが明るく・正しく・仲良く過ごせることを願うのがお坊さんのお仕事です。
ぼくがそんなお坊さんになろうと考えたのは、阿弥陀さまや観音さまのように、多くの人の苦しみを除くことは出来ないけれど、それでも困っている人や悲しんでいる人に出会ったときは、その人に寄り添いたいって思ったからです。お坊さんになれば、一生それを大切な修行とさせていただけるんですから、ぼくにとってこれ以上理想的な仕事はないと考えて決意したんです。
ぼくはお坊さんになってから、日中はお念仏をお称えして、夜はおにぎりを空腹の人に渡す生活をしています。お米のお布施は、お檀家さまがお寺のご本尊阿弥陀さまにくださったお布施をつかわせていただいているので、いわば仏さまからのお布施です。お米のお布施を行う際、決して見返りがほしいわけではないけれど、差し上げたお米をニコニコと笑顔で受け取っていただけた時、ぼくはなんだかうれしくなるんです。
そんな毎日を送っているので、よくいろんな人から「ふーちゃんはどうしてそんなにお布施をするのが好きなの?」と聞かれます。ぼくには、ぼくと同じ人間が路上で生活しなくてはならないことはどうしてなのかな?人が生きるとはどういうものなのかな?どのようなことが幸せなのかな?っていう、とても難しいことを路上で生活される方へのお布施を通じて学ばせていただいている気がするから、これを続けているんです。答えになっていないかもしれないけど、そんな風に思うことが理由の一つです。
もちろん、仏さま達がぼくのお布施を喜んでくださっていたらいいなぁって思うことも、ぼくにとってのお布施を行う大切な理由です。尊敬する法然上人も「慈悲は仏教の掟」とまで仰せになっていることですし、ぼくもがんばろうと思います。
お念仏をお称えする日々のなか、本を読んで勉強し、世間に出ていろいろな活動を通じて学ばせていただけることは、本当に良い修行になっていると実感しています。これからも、法然上人のおっしゃる仏さまの御心にかなう人となれるように、精進していきたいと思います。みなさま、応援の程、どうぞよろしくお願い申し上げます。合掌