11月第4金曜日の『ひとさじの会』定例会は、華やかな笑顔の印象的な金沢さんをゲストスピーカーにむかえ、和やかな雰囲気で開始されました。
金沢さんは、路上生活を脱してアパート生活を始めるステップアップハウス「ひと粒の麦の家」を運営していらっしゃる女性です。
ホームレス支援の現状をまとめていただいた資料などを見ながら、現在の日本の支援対策に欠けていることは何か、どう変わってきつつあるのか、またどうあるべきなのかについて、意見交換を交えながらお話をしていただきました。
お話の中で最も印象に残ったのは、金沢さんが「ひと粒の麦の家」を始められるきっかけともなった政府によるホームレス支援の現状でした。
即ち、当事者の方が路上からアパートに移るためには、監察下におかれながら先の見えない劣悪な環境での寮生活に耐えなければならないという、「試練」ともいえるような観察の段階を経なければならないという制度です。
社会の中で歯車として、まるで精密機械ともいえるような人間関係や働き方を求められる日本。
路上に出るきっかけは、そんな社会に少し疲れてしまったり、仕事・家庭でうまく立ち回れなかったりという誰にでも起こりうるような行き詰まりが原因のこともたくさんあります。
そんな方々が「ゼロからのスタートでももう一度頑張りたい!」と思った時、本人も気付かぬうちにマイナスに立たされているのです。
呆然とするような思いのお話もありながら、実際の活動の様子も伺い、辛くやるせない思いをする方を減らす手立ては思いのほか近くにもあるとも感じました。
人間が、歯車としてではなく人間らしく生きるには、さまざまなかたちがあるはず。
貧困問題に関わって日も浅い私ですが、金沢さんの活動やその原動力となるお考えなどの貴重なお話を聞きながら、私たちがすべきこと・できることは何なのかを深く考えました。