新宿の炊き出しボランティアでひとさじの会のことを知り、今回ご縁があって参加させていただきました。
蒸し暑さが残る夕方4時すぎに炊事場となるお寺に到着。
閑静な住宅街の中にひっそりと、
しかし厳かに佇むお寺に吸い込まれるように門をくぐりました。
「こんにちは~……」というわたしたちの不安げな声に、「こんにちは!はじめまして~!」とあたたかい声が出迎えてくれました。
荷物を置いて手を洗い、さっそくおにぎり作りに取りかかりました。
炊きたてほやほやのごはんをうちわで冷ましつつ、梅干やら、鰹節やら、具を混ぜ込んで、次々と特大のおにぎりを握っていきます。
いま自分たちが作っているおにぎりが、数時間後には路上生活者の方々の口に入るのだと思うと、自然と握る手に力がこもります。
おいしくできますように……
たくさんのおにぎりが完成したら、肩掛けの袋に入れて、みんなで夜の浅草へいざ出発!
何かに夢中になっているときは、時間がたつのが早いもので、すでに夜の8時をまわっていました。
わたしたちは浅草寺周辺へ向かいました。
お寺のベンチで休んでいる路上生活者の方々に、「こんばんは~、ひとさじの会です」と話しかけながらおにぎりをひとつひとつ手渡していきます。
たいていの皆さんが、「ありがとう、ご苦労さん」と言って、微笑んで受け取ってくださいました。
そのあたたかい雰囲気が親しみやすく、緊張の糸もゆるんで楽しくお話しさせていただきました。
明るく気さくな雰囲気とは裏腹に、路上生活者の方々がおかれている生活状況はとても厳しいものでした。
公園にテントを張れないように鎖がかけられていたり、路上生活者の方の住居となる段ボールが道路上から撤去されていたり…。
おにぎりを渡したときの「今日初めてのごはんだよ~ありがとう」というその言葉はとても重く感じられました。
わたしの目に焼きついているのは、小柄なおばあさんが、「ありがとう!ほんとに人様の慈悲で生きてます。ありがとう…おおきに…」
と涙を流しながら、おにぎりを受け取ってくださった姿です。
わたしたちが去った後もそのおばあさんは、おにぎりを持ったまま涙を流してその場に立っていらっしゃいました。
今、わたしにできるのは一人一人におにぎりを手渡して、お話をさせていただくことだけですが、このような活動とともに、路上生活者の方々の生活状況を改善していくための行動が必要なのだと切に感じました。
ひとさじの会の炊き出しボランティアは、実際にこちらから路上生活者の方のところにおもむくという点が、わたしにとって新鮮でした。
今までに参加した炊き出しと違って、路上生活者の方々と直接お話しできる時間が増えた分、より身近に感じることができました。
家を失って路上で生活をするという経験をしたことがないわたしは、
本当の意味で路上生活者の方と同じ目線に立てたとは言えないと思います。
しかし、今回炊き出しに参加させていただいたことで路上生活者の方々の実態を知ることができ、今までよりは少しだけ近い立場になれたような気がします。
このような機会をもうけてくださったひとさじの会の皆さまに感謝です!ありがとうございました!